MSFSのATR 72-600の操作方法を解説します。タイのサムイ島からプーケットまでを飛行して、コールド&ダークからエンジン始動、FMCの入力、タキシングまでを解説します。初心者向きに最低限の設定、操作のみの手順となりますので、実際の手順、飛行経路、高度とは異なります。また専門用語などは分かりやすい言葉に置き換えています。
目次
- 1.MSFSのATR72-600について
- 2.使用しているアドオン(任意)
- 3.飛行するコース
- 4.飛行の準備
- 5.電源投入(外部電源)
- 6.FMCの入力
- 7.エンジン始動(ホテル・モード)
- 8.出発準備
- 9.プッシュバックとエンジン始動
- 10.滑走路ヘタキシング
1.MSFSのATR72-600について
今回使用するATR72-600は、「エキスパートシリーズ」という名前でMSから公開されている、有償のアドオンです。安価ですが、比較的リアルに作られていて、世界中を飛行しているプロペラ機(ターボプロップ機)を操縦することができます。ATRについてはこちらの記事でも紹介しています。
2.使用しているアドオン(任意)
今回はタイのリゾート地、サムイ島からプーケット島までを、実際に運航しているバンコクエアウェイズのATR72-600で飛行しながら解説します。
今回の解説で使用しているアドオンを紹介します※飛行に必須ではありません。
①サムイ空港のシーナリー
タイランド湾に浮かぶ高級リゾート「サムイ島」の空港。ダウンロードはこちら
②プーケット空港のシーナリー
タイ最大の島で、世界有数のリゾート地「プーケット島」の空港。ダウンロードはこちら
③バンコクエアウェイズのATR72-600(リペイント)
タイ国内のリゾート地や近隣諸国を飛行する航空会社「バンコクエアウェイズ」のATR72-600。ダウンロードはこちら
またAI機を実際の航空会社、機体に変えるアドオン「FSLTL」を使用しています。紹介記事はこちらです。
3.飛行するコース
マレー半島東のサムイ島から、タイ本土の上空を飛行して西側のプーケット島へ飛行します。
飛行距離は約240キロ、所要は30分ほどです。
4.飛行の準備
機体選択画面でATR72-600を選択したら、出発地を指定します。検索画面にサムイ空港のICAO「VTSM」を入力して、選択します。
表示されたサムイ空港の「E RAMP 8」を左クリックし「SET AS DEPATURE」を選択してフライトを開始します。
サムイ空港の8番ゲートに機体が駐機しています。
コックピット右側の「EFB(タブレット)」を表示(Ctrl+3キー)して「AIRCRAFT」の項目を選択します。
外部電源を使用するので「GROUND POWER」、乗客を搭乗、荷物を積み込むので「CARGO DOOR」「MAIN DOOR」「WHEEL CHOCKS(車止め)」をアクティブにします。
ドアが開いて、表示されませんが電源車が接続されています。
5.電源投入(外部電源)
コックピットは電源が入っていないコールド&ダークという状態から始まります。
まずは電源(バッテリー)を入れます。オーバヘッドパネルを表示(Ctrl+6キー)して「BAT(主電源)」をONにします。※カバーは開ける必要はありません。
数秒すると各パネルに電源が通って明るくなります。
このままだと機体のバッテリーを消費してしまうので、接続した電源車の電源を使用します。
「EXT PWR(外部電源)」をONにします。
「NAV」ライトをONにします。※ATRのオーバヘッドパネルはスイッチを手前(上側)に倒すと基本的にONになります。
主翼に航行灯が灯ります。
「MIN CAB LT(客室灯)」をONにします。
客室が明るくなります。
「EMER EXIT LT(緊急脱出灯)」「SEAT BELTS(シートベルトサイン)」「NO DEVICE(デバイス使用禁止灯)」をONにします。
客室のシートベルト着用、デバイス使用禁止のサインが点灯します。
「HYD PWR(油圧系統)」「WIND SHIELD HTG(窓のヒート)」「OXYGEN(酸素系統)」のOFFになっているスイッチをONにします。
6.FMCの入力
FMC(フライトマネジメントコンピュータ)へ飛行経路などの情報を入力します。
FMCを表示(Ctrl+4キー)します。「FMS 1 <ACT>」の左側のボタンを選択します。FMCでは、選択する場合は左右のボタンで、文字や数字を入力する場合はキーパッドで入力します。
①ポジションの入力
「INIT」を選択します。
「POS INIT」を選択します。
「GPS POS」を選択すると、現在のGPSポジションが「INIT POS」にコピーされます。
「SENSORS INIT」を選択します。
「RETURN」を選択します。
②重量の入力
「WEIGHT」を選択します。
「ZFW」を長押しすると重量(機体とペイロード[乗客・貨物])が自動的に入力されます。
同様に「FOB」も長押しします。
FOB(燃料の重量)重量とGW(総重量)が入力されました。「RETURN」を選択します。
③飛行高度の入力
「PERF INIT」を選択します。
今回の飛行高度「13000」をキーパッドで入力します。一番下に入力した文字が表示されます。※間違えた場合は「CLR」で文字を消します。
入力したら「CRZ ALT」を選択します。
「CRZ ALT」へ13000が正しく入力されたら「RETURN」を選択します。
④飛行経路の入力
「FPLN INIT」ー「ROUTE」を選択します。
FROM/TOへ出発、到着空港のICAOを入力します。
キーパットで「VTSM/VTSP」と入力すると一番下に入力した文字が表示されます。※間違えた場合は「CLR」で文字を消します。
入力したら「FROM/TO」を選択します。
「FROM/TO」へ正しく入力されたら「EXEC」ボタンを選択します。
出発経路(SID)を入力します。出発空港の「VTSM」を選択します。
使用できる滑走路が表示されるので「17」を選択します。
出発方式は「MESE1A」を選択して、「EXEC」ボタンを選択します。
到着経路(STAR)を入力します。「NEXT」ボタンを選択します。
到着空港の「VTSP」を選択します。
アプローチ方式は「ILS27」を選択します。
到着方式(STAR)は「NEXT」ボタンを2回ほど選択して「ONET1D」が表示されたら選択します。
「EXEC」ボタンを選択します。
「PREV」と「NEXT」ボタンを選択すると、出発空港から到着空港までの途中経路(Waypoint)が表示されます。
途中「FPLN DISCONTINUITY」という表示がありますが、これは経路がつながっていないということです。
この場合は「CLR(クリアー)」ボタンを選択してから「FPLN DISCONTINUITY」を選択することで経路がつながります。
「FPLN DISCONTINUITY」が消えたことを確認して「EXEC」ボタンを選択します。
「MESEM」と「ONETI」の間に途中経路(Waypoint)を追加します。キーパットで「RECNO」と入力して「ONETI」を選択します。
「ONETI」の上に「RECNO」というWaypointが追加されました。「EXEC」ボタンを選択します。
これで経路設定が完了しました。「ETA/SPD/ALT」を選択すると各ポイントの到達時刻、通過速度、通過高度が表示されます。
「ETE/EFOB」を選択すると各ポイントの所要時間と燃料残量が表示されます。
⑤飛行経路の確認
ナビゲーションディスプレイの左側、右側どちらかを選択するとモードが切り替わるので、フライトプランの確認モードを表示させます。
ディスプレイ上部にHDG(針路)が表示されないのがフライトプランの確認モードです。
この状態でFMCの「NEXT」と「PREV」ボタンを選択していくとWaypointが順番に中心に表示されていきます。経路が途切れていないことを確認します。
ナビゲーションディスプレイの上側、下側どちらかを選択すると縮尺が変わります。
以上でFMCの入力は完了です。
ナビゲーションディスプレイの左側、右側どちらかを選択して通常のナビモードに戻しておきます。
7.エンジン始動(ホテル・モード)
通常の旅客機では、電力やエンジンを始動させるための圧縮空気の供給源としてAPU(補助動力装置)を使用しますが、ATRにはAPUが装備されていません。代わりに「ホテル・モード」という方法を使います。
オーバヘッドパネルを表示(Ctrl+6キー)して「PROP BRK(プロペラブレーキ)」のカバーを開けてレバーを「ON」へ動かして、カバーを閉じます。
ENG1とENG2の「PUMP(燃料ポンプ)」を選択してRUNにします。
「ENG START」ノブを「START A&B」へ回します。
「START 2」をONにします。
少ししてから「コンディションレバー2」を「FTH(フェザー)」位置にします。
プロペラブレーキをONにしているので、プロペラは回転しませんがエンジンが回転する音が聞こえ、排気口から熱が出ているのがわかります。
「ENG START」ノブを「OFF」へ戻します。
ホテルモードにより電源が確保できたので「EXT PWR(外部電源)」を選択して「AVAIL(OFF)」にします。
8.出発準備
最終の出発準備です。
①オートパイロットの設定
オートパイロットの設定パネルで「ALT SEL(高度設定)」ノブを回し、PFDに表示される指定高度を13000へ設定します。
次にオートパイロット設定パネルの「IAS」「NAV」「VNAV」を順番に選択します。
下記のようにPFD上部に表示される進路が「HDG HOLD」「LNAV」、高度が「IAS」「VNAV IAS」となっていることを確認します。
PFDの左側にある「SPD SEL(速度設定選択)」ボタンを選択し、PFD内の設定速度が紫から水色に変わることを確認します。※元々水色になっている場合は必要ありません。
「速度設定」ノブを回して指定速度を170へ設定します。
②トリムの設定
スロットルの下にあるパネルの「PERF」を選択します。
MFDがパフォーマンスの表示に変わります。「CONFIRM T/O DATA」を選択します。
中央にあるディスプレイのPITCHで、青い三角が紫色のくぼみに収まるようにトリムを調整します。
スロットルの下にあるパネルの「ND」を選択してMFDをナビ画面に戻しておきます。
③ドアのクローズ
「EFB(タブレット)」を表示(Ctrl+3キー)して「AIRCRAFT」の項目を選択します。
「GROUND POWER(外部電源)」「CARGO DOOR」「MAIN DOOR」「WHEEL CHOCKS(車止め)」をOFFにします。
ドアが閉まりました。
9.プッシュバックとエンジン始動
オーバヘッドパネルを表示(Ctrl+6キー)して「BEACN(ビーコンライト)」をONにします。ビーコンライトは衝突防止だけではなく、エンジンが始動することを周りに知らせます。
プッシュバックを開始します。こちらの記事で紹介しているプッシュバックツールを使用すると便利です。
右側のプロペラを回転させます。スロットルの左側にある「HYD AUX PUMP」のボタンを押します。
オーバヘッドパネルの「PROP BRK(プロペラブレーキ)」に「READY」と表示されるのを確認してから「PROP BRK(プロペラブレーキ)」のカバーを開けてレバーを「OFF」へ倒します。「READY」と表示されない場合は「HYD AUX PUMP」ボタンを何度か押してください。
右側のプロペラが回転を始めます。
「コンディションレバー2」を「AUTO」位置にします。プロペラが勢いよく回るのが確認できます。
次にエンジン1(左側)を始動させます。オーバヘッドパネル(Ctrl+6キー)の「ENG START」ノブを「START A&B」へ回します。
「START 1」をONにします。
少ししてから「コンディションレバー1」を「FTH(フェザー)」位置にします。
左側のプロペラがゆっくりと回転を始めます。
「コンディションレバー1」を「AUTO」位置にします。
オーバヘッドパネル(Ctrl+6キー)の「ENG START」ノブを「OFF」へ戻します。
最後に「PROBES HTG」のOFFになっているスイッチをONにします。
最後にオーバヘッドパネル(Ctrl+6キー)を確認して「OFF」のままのボタンが無いかを確認します。
10.滑走路ヘタキシング
滑走路へ向けてタキシングを開始しましょう。フラップを15度へセットします。
オーバヘッドパネルを表示(Ctrl+6キー)して「TAXI & T.O(タキシングライト)」をONにします。
パーキングブレーキを解除し、スロットルを少しだけ上げて滑走路17へ向けてタキシングを開始します。
サムイ島の空港は誘導路がないので滑走路末端でUターンします。
滑走路17に到着したらパーキングブレーキをセットします。
今回は、コールド&ダークからエンジン始動、FMCの入力、タキシングまでを解説しました。次回は離陸から、オートパイロット(VNAV)を使用した上昇、巡行、降下、オートパイロットとILSを使用した着陸、そしてエンジン停止までを解説します。
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