MSFSとAIRAC(ナビデータ)の関係

Tips(操作方法など)

 MSFS(Microsoft Flight Simulator)では実際に使われている出発・到着手順(SID/STAR)、航空路、アプローチ手順、ウェイポイント(Waypoint)を使用できます。これらのデータは「AIRAC」と呼ばれ定期的にアップデートされます。ただ情報が不足していたり、一部のアドオン機体では使用できません。MSFSとAIRACの関係について解説します。
※誤記やアップデートにより情報が変わっている場合はコメントいただけると幸いです。

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目次

1.AIRACとは

 AIRAC(Aeronautical Information Regulation And Control)は、世界中の航空機が使用するナビゲーションデータです。出発・到着手順(SID/STAR)、航空路、アプローチ手順、ウェイポイントなどが含まれます。これらのデータは、約28日ごとに更新されます。

関西空港周辺のナビデータ 緑色がILS、△紫がウェイポイント、赤い線はSID(出発経路)

最近では関西地区の飛行ルート見直しに伴って阪神タイガースの往年の有名選手が由来の「KAKEF(掛布)」「BERTH(バース)」、「OKADA(岡田)」というウェイポイントが廃止されました。

2.MSFSのAIRAC

 MSFS(Microsoft Flight Simulator)もAIRACデータによって、リアルに近い出発形式、航路、到着形式を使用して飛行することができます。MSFSはNAVBLUE社のAIRACデータが使用されていて、現実のAIRACのアップデートに合わせて定期的にアップデートされます。

出発経路、到着経路を選択可能

ただ、更新が遅れたり一部情報が不足していることがあります。例えば滑走路が新設された福岡空港の出発経路(SID)や、タイ(バンコク)のスワンナプーム空港の到着手順(STAR)が欠落しています。※2025年5月現在

3.MSFSデフォルトのAIRACによる影響

 MSFSデフォルトのAIRACデータは更新が遅れたり一部情報が不足しますが、デフォルトの機体でこだわりなく飛行する分には特に問題はありません。
ただ以下のような時に不便を感じます。

SimBriefで作成したフライトプランで飛行する時
 SimBriefは経路作成に非常に有効なツールですが、SimBrief使用されるAIRACとMSFSデフォルトのAIRACは異なるので、SimBriefで作成したフライトプランをMSFSに取り込むとエラーとなることがあります。

こだわりの路線でナビ情報が不足している時
 こだわりの路線を飛行したいときに、AIRACの情報不足により経路を再現できません。

4.アドオン機のAIRAC

 MSFSのデフォルト機体はMSFSのAIRACを使用しますが、アドオン機体はそれぞれ異なるAIRACを使用します。

機体 使用するAIRAC アップデート
MSFSデフォルトの機体 MSFSのAIRAC 定期的(約1か月ごと)
FlyByWire (A320、A380) MSFSのAIRAC 定期的(約1か月ごと)
PMDG(B737、B777) 独自のAIRAC アップデート無し
Fenix (A320) 独自のAIRAC アップデート無し

 このように、MSFSのデフォルト機体、FlyByWireはMSFSのAIRACを使用し、PMDG、Fenixは独自のAIRACを使用しますが購入時点のAIRACからアップデートはありません。
 私が所有しているPMDGの737ですが、2025年3月のAIRACが使用されています。現在は2025年5月なので「NAV DATA OUT OF DATE」のメッセージが表示されます。

5.使用しているAIRACの確認

 使用しているAIRACはFMCから確認できます。NAVデータの名前と有効期間が表示されます。
ボーイング系
[INIT/REF] → [INDEX] → [IDENT]

エアバス系
[MCDU MENU] → [FMGC]

6.最新のAIRACで飛行するには

 MSFSのデフォルト機やFlyByWireの機体だと、定期的にAIRACのアップデートはあるが不完全な場合があり、PMDGやFenixの機体だと購入時からのAIRACのアップデートは無いということがわかりました。
 では現実に近い出発・到着手順(SID/STAR)、航空路、アプローチ手順、ウェイポイントを使用して遊ぶことはできないのでしょうか。
「Navigraph」を導入することで、最新で不足のないAIRACで飛行することができます。

MSFS用、アドオン機体用のAIRACを入手可能

7.Navigraphについて

 Navigraphはスウェーデンの会社が提供する航空ナビゲーションデータとチャートの統合サービスです。Navigraphを契約すると、最新のAIRACデータとチャート、最新のAIRACを使用したSimBriefでのルート作成を使用することができます。主に使用できる機能は下記のとおりです。

最新のAIRACデータ

 最新で現実に近い(ほぼ現実)のAIRACデータを使用できます。MSFSに取り込むことで、デフォルト機やPMDG、Fenixなどで使用することができます。

NavigraphのAIRACを使用することでナビデータを最新に

チャート

 世界中の空港のチャートを見ることができます。飛行しながらスマホやタブレットでチャートを確認したり、チャート上へMSFSで飛行している自機の位置を重ねることもできます。

こちらは大阪伊丹空港へのアプローチチャート。赤い矢印が自機

空港のチャートです。大型機(787-8)のみが使用できる誘導路のみを表示したチャートです。

SimBrief連携

 ルート作成に便利なSimBriefと連携できます。SimBrief自体は無料で使用できますが、Navigraphの最新のAIRACを使用したルート作成ができ、同じAIRACを機体に読み込ませることで作成したフライトプランとFMCの不一致を無くすことができます。

最新のAIRACでのルート作成が可能

Navigraphは有償サービスでサブスク(1カ月 or 1年)契約が必要です。1カ月だと9ユーロ、約1500円です(※2025年5月現在)。
契約中にダウンロードしたAIRACは解約後も使用できるので、常に最新のAIRACでなくてもよければ、1カ月だけ契約してAIRACをMSFSやSimBriefへ適用させて解約する。これを年に1回ほど実施するという使い方もできます。
AIRACは約28日ごとに更新されますが、頻繁に大きな変更があるわけではないので、こだわりがなければ十分です。
ただし、解約するとチャートの利用はできなくなります。

以上、MSFSとAIRACの関係についてでした。

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